日本共産党は、昨年創立100周年を迎えた。今年の7月には「日本共産党の百年」という党史がまとめられ、タブロイド版で発表された。私の手元には『日本共産党の六十年』、『日本共産党の七十年』、『日本共産党の八十年』の過去の3冊の党史がある。いずれも大部の著作である。『六十年』は737ページ、今から40年前だが2,600円もした。『七十年』は3冊セットで合せて1,317ページあった。紙のケースに入っており3,500円もした。『八十年』は326ページで1,400円だった。『百年』はタブロイド版なので280円である。10月には書籍として出版されるらしいが、果たして売れるかどうか。
かつての党史は増刷が何度かあったが、今回はどうだろうか。何しろ赤旗日刊紙を読まない党員が増えているのが現状だからだ。
この日本共産党で志位和夫委員長の「革命政党宣言」が党内外に波紋を呼んでいる。
党創立時から社会主義革命にリアリティはなかった
多くの国民は、日本共産党が革命政党だということにそれほどの違和感を持たないだろう。共産主義社会を目指すからこそ、こういう名前を付けたのである。だが日本共産党の実体は、この名前からは大きく外れたものになっている。
私は戦後間もない1948(昭和23)年生まれで今年75歳になった。団塊の世代である。私たちの世代以前の人は、日本共産党に入党するというのは、社会主義・共産主義の社会を目指すということが最大目標であった。
今でも共産党の中央委員会理論政治誌に『前衛』というのがある。私が入党した1967(昭和42)年当時の共産党規約には、「日本共産党は、日本の労働者階級の前衛部隊であり、労働者階級のいろいろな組織のなかで最高の階級的組織である」と規定されていた。要するに革命に目覚めていない労働者階級や国民に、自らの解放の道筋を示し、指導・援助していく、一般大衆より一段高いところにあるのが共産党という政党だというのだ。
これでは一般国民を後衛と呼んでいるようなものだから、相当以前に「前衛」という規定は外した。ただ雑誌だけは「前衛」という言葉が残った。別に特段の意味があったわけではない。私が在籍していた20数年前に、新しい名前を常任幹部会で検討したこともあったのだが、良い案が出てこなくて、やむを得ず雑誌の名前だけ残ってしまったというだけのことだ。
ただ私が入党した当時もそうだが、社会主義革命をリアルに考えられたわけではない。