背景想定は、習近平国家主席は、国内経済の低迷によって政権基盤が弱体したものの3 期目をスタートした。しかし習主席は10 年間で権力を手にしたが権威はない。今後は国家主席として歴史に名を残すために、4 期目を前にあらゆる手段を用いた台湾併合を目指すとしました。・・・・
岩田:今、長島さんが仰ったように、この3 文書に書かれた能動的サイバー防御が導入されれば、今回シミュレーションでも確認できたように、我が国も十分対応できると思います。戦略3 文書には、27 年度までにその体制を取ると書かれています。現状約900 名のサイバー部隊を増強して、27 年度までに自衛隊内に4,000 名のサイバー部隊を作り、またサポート要員も含めてトータル2 万名の体制を作るとあります。
これらに加えて恐らくは警察も体制を強化するでしょう。こういった国家組織としてのサイバーにおける実働部隊は訓練することが必要です。組織を整え、訓練しないと使い物になりません。スーパーコンピューターや人工知能(AI)をも駆使して暗号を解き、相手のサイバー空間に侵入して特定しなければならない。誰が、どこから、どういう攻撃をしかけているのかということを掴まなければならない。その相手を特定するには、サイバー攻撃を受けている民間事業者との連携も不可欠です。・・・・
島田:日本は、今回、防衛力の抜本的強化を行い、その前には平和安全法制の整備を行ないました。このように、これまでは、安全保障に関わる制度の構築を進めてきましたが、これから求められるのは、現実の事態に即して、これまで構築した制度を、実効性を持って動かすことです。そのために必要なのが、意思決定なのだろうと思います。
ご指摘の認知戦は、認知領域における戦いです。認知領域というのは、言ってみれば人間の頭の中ですが、今や、この領域は陸・海・空といった伝統的な領域、さらには宇宙空間、サイバー空間に続く、第6 の戦場と考えられています。
自衛隊で考えてみれば分かりますが、自衛隊は総理大臣の命令がなければ一兵たりとも動かすことができません。認知戦によって相手の政治指導者の思考に影響を与えて、意思決定を左右する、意思決定をコントロールすることによって、究極的には戦わずして勝つというのが認知戦の目的だと思います。いくら防衛力を強化しても、政治の判断がなければ自衛隊は全く動くことができず、国民保護ですらできないのです。・・・・