空疎でしかなかった共産党29 回大会

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政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

 一昨年、党創立100 周年を迎えた日本共産党が、今年1 月、創立100 周年後初の党大会・第29 回大会を開催した。共産党は他の政党と違い、党規約で「二年または三年のあいだに一回ひらく」となっている。今回は統一地方選挙などがあったため大会を延期し、4 年ぶりの党大会であった。新しく委員長になった田村智子副委員長は、党大会への中央委員会報告の最後で「全党が新しい1世紀に飛躍する力となる、歴史的党大会にしようではありませんか」と呼びかけたが、そのような斬新さも、力強さも感じ取ることは出来なかった。全てがありきたりとしか言いようがない凡庸な党大会だった。

メディアの報道に八つ当たり

  今回の党大会で新味があったと言えば、女性の委員長が初めて誕生したことぐらいだろう。後で触れるがこの選定経過も共産党内には民主主義はないということをあからさまに示すだけのものであった。メディアの報道も冷めたものでしかなかったのも当然である。共産党はそれが気に入らないのだろう。1 月25日付赤旗で「各紙の日本共産党大会報道鋳型にはめこむだけでいいのか」と題する記事を掲載し、次のように報じた。

  「日本共産党の第29 回党大会を、閉会翌日(19 日)の各紙は一斉に報道しました。閉会日(18 日)の『朝日』と『読売』は事前記事を掲載し、マスコミが注目する大会でした。当日の記事では、田村智子参院議員の委員長就任を『選挙で女性候補を多数擁立してきた同党を象徴する人事』(「朝日」)と紹介しました」と報じたまでは良かったが、この後の論評が酷いものだった。

  「社説や論評を中心に多くは、『低迷の共産 刷新演出』(『朝日』)『党勢反転へ人事で刷新感』(『日経』)などと専ら人事だけに焦点を当て、その背景に党勢の『低迷』を挙げる皮相な中身でした」と赤旗記事は批判しているのだ。議員数でも、党員数、赤旗読者数でも減り続けている共産党の現状は低迷どころか大低迷である。このことを指摘することは決して皮相な見方、うわべだけの見方などではない。これこそ現下の共産党の最大の解決すべき課題ではないか。

   では赤旗記事はなぜ朝日記事などを皮相だと批判するのか。「そこでは党大会とそれに向けた3ヵ月にわたる全党討論で練り上げた決議や報告、さらには、大会での豊かな討論の内容にはいっさい触れませんでした」と言うのだ。