今年も日本戦略研究フォーラム(JFSS)主催の台湾海峡危機政策シミュレーションに参加させていただいた。1、2 年目は統合幕僚長役、昨年は中国セル、そして今年はサイバー担当の内閣官房副長官補役を仰せつかった。当初、統裁部要員としてシナリオ作成のお手伝いなどに専念していたところ、シミュレーションでは様々なサイバー攻撃により能動的サイバー防御(Active CyberDefense、以下「ACD」)に係る政策判断が重要になる、サイバー問題を担任される国会議員の方々を補佐する役職が必要だ、との話が持ち上がり、本番直前に拝命した。慌てて準備に取り掛かったが、ACD を行うためには本当に多くの課題があること、そして早急に解決すべきものであることを改めて認識することが出来た。
ACD に係る政策判断を検証するため、シミュレーションでは政府や多くの重要インフラ等に対してサイバー攻撃が行われた。これを担任するサイバーセルのセル長に大澤淳氏(中曽根平和研究所主任研究員)、中国側の「レッドセル」にYuster Yu 氏(フォワードアライアンス・リサーチフェロー)、日本側の「ブルーセル」に松原実穂子氏(NTT チーフサイバーセキュリティ・ストラテジスト)、川口貴久氏(東京海上ディーアール株式会社主席研究員)と、錚々たるサイバー専門家を招き、彼我対抗型のボードゲームの手法を取り入れてサイバー攻撃が行われた。ボードゲームでは日本セルによるサイバー防御の失敗がそのまま重要インフラ等の被害に直結することとなり、結果的には多数の重要インフラに甚大な被害を被ってしまった。