第4回台湾海峡危機政策シミュレーション 雑感

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海上保安協会理事長 奥島高弘

 昨年(第3 回)に引き続き、今回も海上保安庁長官役としてシミュレーションに参加した。この想定での海上保安庁の主たる役割は、尖閣警備と国民保護である。この観点から、前回も含め、気付いた点について私見を述べたい。
 1 台湾からの邦人避難中国海軍により海上封鎖された状況の台湾から、日本国民をどのように避難させるのか?
 (1) 自衛隊による邦人輸送
 国民保護措置は、自衛隊の任務であると同時に海保の任務でもある。民間勢力による台湾からの輸送(救出)が困難な状況下では、自衛隊や海保、さらには他の政府公船により救出活動を行うこととなる。
 今回のシミュレーションでは、防衛省が「(既に台湾は戦争状態なので)自衛隊が行う」旨発言し、自衛隊による対処となった。
 その際、意見を求められた私も自衛隊による対処に賛同した。海保ではなく自衛隊が対処することに賛同した理由は、海保には中国海軍艦艇に海上封鎖された状況で、海軍と戦って国民を安全に救出する能力はなく、それができる能力を有するのは自衛隊しかないからである。