1 はじめに
令和6 年7 月13 日(土)から14 日(日)、日本戦略研究フォーラム主催の「第4 回政策シミュレーション」に防衛事務次官役として初めて参加させてもらいました。昨年夏に防衛省を退職したばかりの私にとって、このシミュレーションは、著名な政治家の先生方が参加し、グレーゾーンから有事に至るまでの状況の中で、自衛隊をはじめとする我が国政府の意思決定をいかに迅速かつ適切に行っていくかを実戦的な形で演練するものであるという程度の知識しかありませんでしたが、マスコミにもよく取り上げられるネームバリューのあるシミュレーションに参加できることは非常に光栄なことと、事務次官役のオファーがあった段階で即座に引き受けさせていただきました。
しかしながら、初めて参加する私にとっては、退職後久しぶりに、現役時代の国会答弁の時(?)のような「緊張感」を覚えるものでした。正直なところ、シミュレーション期間のみならず事前準備の期間も含め、このような緊張感とサブ面での詰めなど、久しぶりに防衛省勤務時の感覚が蘇るものでありました。
2 防衛省チームについて私の所属した防衛省チームは、統幕長・陸海空幕僚長役の4 名の自衛官OB の方々と防衛事務次官役の私の、所謂、事務方は計5 名から構成される、各省庁の中では最大規模のチームでした。防衛事務次官役は過去3 回のシミュレーションでは設定されておらず、今回初めての設定でありました。さらに、私以外の4 名の自衛官OB の方々は、本シミュレーションへの参加経験が複数回あり、論点となるべき分野も予め把握されているという、チームの中にあって私のみがハンディキャップ付きでの参加となってしまいました。しかしながら、防衛大臣役の国会議員の先生方は1 日目が細野豪志衆議院議員、2 日目が和田義明衆議院議員と、防衛省勤務時代に長年にわたり大変お世話になった先生方であり、また、各幕僚長役の自衛官OB の方々も現役時代に何らかの形で仕事上お付き合いのある方々で、まさに地獄に仏とはこのことではないかと感じた次第であります。