日本を取り巻く世界情勢は刻々と対応が難しい方向に悪化している。2024年7月に発刊された「令和6年度防衛白書」の巻頭言において、木原稔防衛大臣(当時)は、「国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入していると認識しており、わが国を取り巻く安全保障環境も戦後最も厳しく複雑なものとなっています」と述べている。2022年12 月末に閣議決定された「国家安全保障戦略」の結語にある情勢認識では、「歴史の転換期において、わが国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の下に置かれることになった」「希望の世界か、困難と不信の世界かの分岐点に立ち、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の下にあっても、・・・」と記されている。