日本人の心情について ―「アジア版NATO」報道を聞いて感じたこと―

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元海上自衛隊自衛艦隊司令官 湯浅秀樹

 石破総理が昨年9 月の総裁選で「アジア版NATO」についての考えを表明した。突然の感はあるものの、米保守系シンクタンク「ハドソン研究所」に投稿したことも考えれば、並々ならぬ思いがあったのかも知れない。但し、これに関しては国内外の多くの識者が論じているように、私も実現の可能性は相当に低いと感じている。特に先の安全保障関連法の国会議論を考えればその実現のためには憲法改正が必須である事は明らかで、防衛庁長官、防衛大臣を歴任した石破総理がそのことを知らないはずはない。それでも、敢えてこの話を持ち出したのは憲法改正を積極的に進めるための意思表示に違いないと私は勝手に好意的に解釈している。