1. 専制政治という欠陥-民主化できない中国
1978 年から毛沢東時代の大躍進政策と文化大革命で疲弊した経済を立て直すため、現実派の鄧小平は「四つの近代化」を掲げ、市場経済体制への移行を試みた。要するに社会主義経済を資本主義経済に転換を図ったのである。毛沢東思想に代表される教条主義的社会主義市場経済とは、全く反対の思想である。農村部では、人民公社の解体、生産責任制など農民の生産意欲向上を目指し、都市部では、広東省の深圳、福建省のアモイなどに経済特区が、上海、天津、広州、大連などの沿岸部諸都市に経済技術開発区が設置され、外資の積極的取り込みが活発化した。
改革開放政策は、中国全体の経済繁栄に貢献したが、一方では、農村部と都市部の経済格差、沿岸部と内陸部における経済格差が拡大し、官僚の汚職や腐敗が蔓延して、インフレや失業率の増大をもたらした。その後、習近平政権になって、中国社会はさらに矛盾に満ちた社会となった。