トランプ氏を必要以上に恐れる必要はない 寧ろ日本の方が心配だ

.

上席研究員・元米国海兵隊大佐 グラント F. ニューシャム

はじめに

 4年毎に日本はパニックに陥る。それはアメリカが新大統領を選出する周期だ。2024年11月5日以降、日本人は習近平や中華人民共和国(PRC)よりもドナルド・トランプについて心配しているように見受けられる。
 「トランプ氏が今後何を行おうとしているのか」という質問に対し、日本からは「北朝鮮に譲歩するだろう」「友人であるウラジーミル・プーチンと取引をするだろう」「トランプ氏が『ビジネス的』であることは周知の事実だが、彼は中国に完全な行動の自由を与えるよう取引し、日本を疎外し無防備な状態で放置するだろう」といった多くの懸念点が上がる。こういった予測の反対に賭ける人物は大勝するであろう。上述の懸念点は全て間違っている。
 証拠はある。トランプ氏が第一次政権(2017~21 年)で成し遂げた功績を見れば、彼が第二次政権で何をしようとしているかしっかり判断出来るだろう。
 確かに、トランプ氏は第一次政権時代に北朝鮮のリーダーである金正恩と会談した。トランプ氏は金正恩に譲歩しただろうか?実際にはしていない。事実、彼は北朝鮮に対する制裁をより厳しいものにし、金正恩が海外から批判されることを嫌がる北朝鮮の人権問題についてはより声高に批判するようになった。トランプ氏が日本人の拉致被害者家族とホワイトハウスのオーバルオフィスで面会したことを思い出して欲しい。