トランプ大統領就任後の世界情勢を読む

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顧問・麗澤大学特別教授 古森義久

超スピードでの新重要政策
 第47代の米国大統領に就任したドナルド・トランプ氏は文字通り、世界を変えるような政策を超スピードで次々と打ち出した。2 期目のホワイトハウス入りの1月20日からほんの1ヵ月ほどの2月末まででも、米国内の主要政策に始まり、国際的な主要課題にも勢いよく打って出る攻勢的な新たな動きを取り始めたのだ。近代の米国の政治でも、いや世界全体の地政学の構図でも、これほど果敢で大胆な新施策の推進というのは歴史的な先例はまずないと言えよう。
 このトランプ2 期目政権のあまりにも激しい動きに、日本を含むその考察側が衝撃を受け、トランプ陣営の政策基盤が乱雑であり、究極目的が「単なる取引」に過ぎないとする浅薄な反応も少なくない。
 ところが現実にはトランプ氏は選挙戦の最中から一連の明確な内外政策を公約として打ち出し、就任後はまさにその公約を実行に移しているのだ。しかもその大胆な政策全体は一定の政治思考に立脚している。トランプ陣営の内外政策形成の経過を知っていれば、新政権の果敢な動きも、実は意外にも驚きともならないと言えるのである。