長野禮子
11月8日に行われた大統領選挙で、米国民は共和党のドナルド・トランプ氏を選んだ。CNNを始め多くのマスコミは当初、ビジネスマン出身で政治経験のないトランプ氏を泡沫候補として扱った。政治家ではない氏故に、短絡かつ刺激的な発言が連日のように新聞の一面に踊り、世界中を飛び回った。顰蹙を買うことを承知で言えば、まるで「お祭り騒ぎ」のような1年余だった。そしてこの日、トランプ氏はヒラリー・クリントン氏との大激戦を制したのである。
当選が確実になった途端、マスコミは「番狂わせ」だとし、これまでのヒラリー勝利報道への正当性を前面に出しつつ、一方でトランプ氏の選挙中の発言を挙げ、今後の、特に日米同盟と日米関係の行方、「アジアのリバランス」への取組、TPP、そして中露・中東政策など様々な観点からの分析が始まった。
ともあれ、選挙から1週間が過ぎた今、トランプ氏の過激な発言は封印されたかのように静かになり、報道にも「落ち着き」が感じられるようになった。来年1月20日の就任を前にホワイトハウスの陣営も検討されている。
今回の結果を受けて安倍首相は直ちにトランプ氏との電話会談に臨み、日米両国の関係強化、信頼関係構築に向け良いスタートを切った。17日の安倍首相の訪米で、安倍首相と次期大統領トランプ氏との会談が行われる。期待を持って見守りたい。
今回はお馴染みのジェームス E・アワー氏をお迎えし、上下両院ともに制した共和党による今後の政権運営について、様々な視点からお話いただく。