第199回「米国中間選挙の行方」

 今回は、久々にロバート・エルドリッヂ氏をお招きし、来月11月に迫った米国の中間選挙の行方についてお話を伺った。以下、簡単にその概要を記す。
 2期目のトランプ政権については、あまり評価していない。選挙中は期待したが、政権に入ったのは中国に宥和的な人々だった。中国に厳しいと言われるルビオ国務長官も苦労しているようだが、民主党政権よりはましだ。
 11月3日に投票が行われる中間選挙は、現在のところ、下院は民主党が優勢、上院は共和党が若干優勢だが、微妙な状況になっている。中間選挙は、歴史的に見れば、現職大統領には厳しい結果になり、野党とのバランスをとる。今回もそうなる見込みだ。
 今年1月の段階では、共和党が有利だと考えたが、2月末のイラン攻撃で状況は一変した。そもそもトランプ氏は米国第一を公約にし、介入主義を否定。「新しい戦争はしない」と言って大統領選に勝った。従って、トランプ支持者にとってイラン攻撃はショックであり、共和党支持者も不満を持っている。
 支持者たちが期待したのは、民主党政権で行われた「おかしな」政策の正常化だった。当初は、米政府効率化省(DOGE)を作るなどしてよかったが、昨年の暮れには中東、ウクライナ問題で躓いた。年が明けて和平プロセスが進みだした矢先の2月末、イラン攻撃を行った。たちまち経済が混乱した。イランによるホルムズ海峡封鎖。エネルギー危機、石油価格の高騰。車社会の米国には大問題だが、いまや中東諸国を巻き込んでの混乱に発展。米国民は勿論、世界的な物価高を誘発し現在に至る。和平交渉も暗礁に乗り上げたままである。
 2年前の大統領選でトランプ氏当選の鍵を握っていたのは無党派層だった。今回、トランプに失望した無党派層は選挙に行かないだろう。だが、民主党には組織票がある。従って、今回の中間選挙では共和党に不利に働く可能性が高いと見る。
 移民問題も大きな問題だ。市民権がないのに投票している移民がいるのは事実だ。米国には戸籍や住民票に当たるものがなく、選挙の時は自分で登録する。これは行政と紐づけされておらず、州によっては甘い法律になっている。民主党が反対することにより、投票所でのIDの提示を求められないところもある。犯罪を犯した移民を元の国に返す取り組みも民主党が反対している。この社会的な混乱により、自治体の負担は増え続けている。
 台湾との関係でも、1期目と2期目とでは全く異なる。1期目では台湾との関係は進んだが、今は一貫性がなく、曖昧になっている。バイデン前大統領は、台湾を「守る」と表明した。彼は上院議員時代に外交委員長を務めるなど、台湾のことを一番理解していた。
 かつて、安倍晋三総理はトランプ大統領と世界をつなぐ架け橋になっていたが、今はそういった役割を果たせるリーダーがいないのが残念だ。トランプ氏にとっても悩ましい現実だ。
 
記
テーマ: 第199回「米国中間選挙の行方」
講 師: ロバート D. エルドリッヂ氏(JFSS上席研究員・エルドリッヂ研究所 代表)
日 時: 令和8年10月1日(木)14:00~16:00
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