日本と韓国の間には、これまで歴史問題、慰安婦問題、竹島の不法占拠、旭日旗の排斥、戦時労働者、所謂「徴用工」訴訟、そして昨年12月20日の日本のEEZ内(能登半島沖)で韓国の駆逐艦「広開土大王」(クヮンゲト・デワン)による海自P1哨戒機への火器管制レーダー照射と、重たい問題が横たわっている。「照射」に対する日韓の主張は真っ向から対立、日本側は映像や音を公開したが韓国側はこれを認めず、日本への抗議が続いている。今回の講師、西村氏は韓国駆逐艦が発したレーダーの種類やレーダー波の特徴を図で示し詳しく説明、後の質疑応答では出席者からの質問と経験による深い洞察や推測が多く出た。
そもそも何故あの場所に3隻(北朝鮮の木造船・韓国の駆逐艦と警備艇)が同時に存在したのか、安全保障上の協力関係にある韓国海軍が何故海自の哨戒機に照射したのか、日本側の低高度飛行が威嚇行為であるとする苦しい言い逃れをしなければならない理由は一体何なのか、未だ判然としない。明白なのは、韓国にとっての日本は日米韓の直接、間接の同盟国ではなく、最早「敵」なのではないかということ。俗っぽく言えば、政略結婚してみたが、やっぱり日本は嫌いということがこの「照射」事件で露わになったということか。
親北政策を加速している文在寅大統領の思惑が現実となり、南北統一が成されれば、核・弾道ミサイルを保有した170万の兵を持つ世界第1位の軍事力となるそうだ。そしてその矛先は、日本である。対する日本の戦略はあるのかと、西村氏は危惧する。
1月28日、韓国国防省報道官は2月に予定していた海軍幹部の訪日延期を発表。防衛省は4月末から韓国で始まるASEANの拡大国防会議(ADMMプラス)に合わせた海自護衛艦の派遣中止を検討している。先述した日韓間の諸問題は、年月をかけて真摯に向き合い理解と信頼を深めてきたはずだが、それはいたずらに不毛な時を費やしただけなのか。両国の防衛交流まで難しい状況にある今、未来志向型の関係とは最早言い難い。その根っこには「歴史問題があるからだ」としたり顔で話す韓国人ジャーナリストを報道番組で見たことがあるが、全く次元の違う事柄を「歴史問題」を持ち出し、現実を直視しようとしないのは、韓国の国民性なのだろうか。
「照射」問題についての二国間協議を防衛省は2回で中止した。日韓間は過去最悪の状況にあると言われ、防衛省や政府内にも「韓国疲れ」が広がっているというが、私たち国民もまた、韓国とは「まともな話ができない国」との印象を一層強くしたのではあるまいか。