令和の御代を迎え、初めての防衛白書が出版された。本年度防衛白書の特色としては、昨年度に策定された新防衛大綱、新中期防衛力整備計画の内容について、コラムを交えながら紹介している。加えて、平成の防衛省・自衛隊を振り返る巻頭特集を掲載し、AR動画を活用しながら、当時の映像によって振り返ることが可能となっている。
本編は、4部構成となっており、第1部「我が国を取り巻く安全保障環境」、第2部「我が国の安全保障・防衛政策」、第3部「我が国防衛の三つの柱」、第4部「防衛力を構成する中心的な要素」など、という内容となっている。
第1部では、グレーゾーン事態やハイブリッド戦、そして宇宙・サイバー・電磁波領域など、安全保障環境の変化と我が国周辺国の軍事動向に触れている。中でも、中国・ロシアとの戦略的競争が安全保障上の最優先課題であるとの認識を示し、中国に対する抑止を強化する必要性を打ち出している。
第2部では、新防衛大綱、新中期防、令和元年度の防衛力整備、そして平和安全法制施行後の自衛隊の活動状況について触れている。その上で、第3部は、我が国防衛の柱として、我が国の防衛体制について、グレーゾーン事態、島嶼防衛、宇宙・サイバー・電磁波などの新領域、そして大規模災害への対応を取りあげている。加えて、日米同盟、諸外国との協力体制の重要性を指摘している。
最後に第4部では、防衛力を支える人的基盤や衛生機能、防衛装備・技術に関する諸施策、そして、地域社会・国民との関りを取り上げ、安全保障問題に対する国民の理解と協力の重要性を述べている。
質疑応答では、日本の防衛体制が相変わらず専守防衛になっていることや、憲法改正が実現しないことに対する安全保障上の問題点等々、白書作成に当たって、担当部署や防衛省の所感が表れる内容にするのも良いのではないかとの意見が出た。