外資が狙う日本の国土と水源林
(6)私が中国を恐れる理由
 
農学博士  渡邉 巌

 領土問題、資源問題で私が最も警戒しているのは中国である。これは多くの日本人が共有する恐怖心であると思う。領土を奪うには先ず小さな騒乱を契機にして「解放する」と称して軍隊を送り込み自国領とする。次に国家権力により強制的に多くの中国人を送り込み、学校教育では中国語を強制して現地の文化を破壊する。チベットやウイグルでのやり方がこれであった。中国の怖さは国家計画が数世代先を見越した極めて長期的なものであることだ。21世紀は世界が水資源の取り合いを行うと予測して、水と氷の宝庫であるチベットを侵略した。ヒマラヤを水源とするメコン川上流にダムを作り、早速取水を始めたため、下流のタイ、カンボジアなどからクレームがついている。「遅れて来た帝国主義」と称される大国中国は、硬軟あい取り混ぜた手段で領土と資源を盗りにゆく。そこには道義・道徳はなく、道義的に許せないと判断して先進国が技術援助を撤退した後にこれ幸いと入りこむのは決まって中国である。不道徳を足場にして発展してきたと言える。
  中国は時々国民を兵器として使う。朝鮮動乱の時に韓国側が設置した地雷を除くために地雷敷設地帯を中国解放軍に歩かせた。毛沢東曰く「わが国には多少の消耗には耐えられるだけの十分過ぎるほどの人口があるから問題は無い」という発言が記録されている。この兵器となり得る在日中国人の数は近年増加の一途をたどり、2010年現在では在日韓国・朝鮮人を凌駕して69万人にのぼった。 在日中国人が小さな暴動を起こせば、本国は邦人保護を口実に軍隊を派遣する。中国政府の動員令により聖火リレーが通る長野に結集し、大きな五星紅旗をうち振って我がもの顔に長野市街を練り歩いた中国人留学生を思い出して欲しい。日本全国のあちらこちらに中国資本が買い取った土地に、在日中国人が配備されたら、本国からの指令で日本の各地で小さな暴動を同時多発させることができる。土地が中国人に売られるということは暴動の火種を作る場所を中国に提供することになる。日本の水源林から大々的に地下水を汲み上げ、水不足と水質汚染に悩む中国に大量輸送すれば、この事態は日中両国間の立派な論争点になり得る。論争はデモや暴動を導く。中国が計画的に事を進める国だということは、尖閣諸島沖での漁船の暴挙とそれを支持した中国政府の対応を見れば分かることだ。
 国力の発展にとりマイナスになる要因は悉く上手に排除してきた中国だが、これだけは乗り切れないのではないかと思われているのが水不足と水汚染である。水は石油と異なり人間の命の生存に直接関わるものであり、石油のように他に代替可能な物がない。貪欲に世界の資源を貪ってきた中国だが、水については他の資源では見られなかった差し迫った貪欲さを発揮することは容易に想像できる。中国が国際的なルールや常識を無視する国であることは世界が経験済みである。世界銀行の懸念は、中国は世界人口の20%を占めるのに、水資源の保有量は世界のほんの6%であり、先に述べたように2020年までに水が原因で3000万人の環境難民が発生するという予想である。この難民の避難先はあらかじめ購入しておいた日本の水源地を含む山林となる可能性は高い。考えたくないシナリオであるが、この難民がせっせと本国に水を輸送するとしたら中国にとり正に一石二鳥である。
水の汚染が量の不足に追い打ちをかける。2007年の中国政府発表によると「七大河川の70%以上が重金属や農薬で汚染され、地下水も90%が汚染」されているという。原因は工場から垂れ流される工業排水であるという。「公」を持たず「私」に徹することが国民の特性であれば、政府が公害防止にやっきになっても効果が薄いのもやむを得ないであろう。
李登輝氏に言わせると、中国は美しい女を見ると「あれは俺の女だ」と必ず主張するという。そのように主張させないためにも、国土と水資源についての法整備が急がれる。 (完)                
(2012.2.26)

 参考文献(追加)
 産経新聞 巨竜むさぼる 中国式「資源」獲得術 第1部:2010・1・5−2010・1・6、   第2部:2010・2・17−2010・2・21
 産経新聞 メコン異常渇水 タイ反発 「中国のダム原因」2010・3・9
 平松茂雄 中国軍はいかにしてチベットを支配したか 正論 2008.6 p.82-89
 SAPIO 繁殖する「中国毒」 2007,9,26 p12-38
 浜田和幸 中国最大の弱点、それは水だ! 角川SSC新書 2011・1
 井村秀文 中国の環境問題 今なにがおきているのか 化学同人 2007・11
 福嶌義宏 黄河断流−中国巨大河川をめぐる水と環境問題− 昭和堂 2008・1
 高橋五郎 農民も土も水も悲惨な中国農業 朝日新書 2009・2
 
 
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