Key Note Chat 坂町

第158回
『令和3年度版防衛白書』説明会

長野禮子
 
 コロナ禍が続く中、今回も参加人数を限定した中での開催である。本年度『防衛白書』の本編は従来と同様に4部構成で、第1部「わが国を取り巻く安全保障環境」、第2部「わが国の安全保障・防衛政策」、第3部「わが国防衛の三つの柱」、第4部「防衛力を構成する中心的な要素など」である。中心的な話題はやはり「中国」及び「米中関係」であり、特にこれらをテーマに説明いただいた。
 まずは概観として現在の安全保障環境の特徴に、「グレーゾーンの事態」と「ハイブリッド戦」という2つのキーワードを挙げ、純然たる平時でも有事でもないシームレスな状況と軍事・非軍事の境界を曖昧にした手法の双方に対する警戒が必要な時代となったと解説した。
 その上で、我が国にとって大きな懸念対象となっている中国に言及。軍事資源と民間資源を結合させる「軍民融合」政策を中国が全面的に推進しており、将来の戦闘様相を一変させる、所謂ゲーム・チェンジャー技術の発展も重視している傾向にあると指摘。特に軍事力の近代化に重点が置かれており、そのマイルストーンとして建軍100周年(2027年)や国防と軍隊の近代化(2035年)などを定めているが、具体的な内容については未だ公表されておらず、引き続き注視していく必要性を説く。
 更に、INF全廃条約の枠外にあった中国は、同条約が規制する地上発射型ミサイル(射程500~5,500km)を多数保有し、この条約の規制によりミサイルを持たない米国とのミサイル・ギャップが拡大しており、これは周辺地域におけるA2/AD(接近阻止/領域拒否)能力が目的にあると指摘した。この他、中国が保有する最新の空母や軍用機の現状に触れた一方、中国海警局の準軍事化による我が国周辺海域での活動状況を紹介し、中国がもたらす多くの懸念事項に警鐘を鳴らした。
 中国との戦略的競争関係に入った米中関係については、互いに自国の安全や重要な利益については妥協をしない姿勢を示しており、今後様々な分野において米中間の競争が顕在化していくという。そして、台湾をめぐる情勢の安定は我が国の安全保障や国際社会の安定にとって重要であると明記し、一層緊張感を持って注視していく必要性を強調した。
 質疑応答では、日台関係の発展に向けた防衛省の姿勢や取り組みについての質問が出たほか、日本の南西諸島防衛の強化が台湾海峡の安定に繋がるとの見方を共有した。また、依然としてGDP比1%の水準に留まっている防衛予算については、概算要求の時点からより強い姿勢で増額の必要性を訴えて欲しいという意見も出た。
 
*新型コロナ感染拡大防止のため、少人数での開催とし、関係者には動画配信とする。
テーマ: 『令和3年度版防衛白書』説明会
講 師: 石川 武 氏(防衛省大臣官房報道官)
日 時: 令和3年9月22日(金)14:00~16:00

第157回
「日韓関係と朝鮮半島情勢」

テーマ: 「日韓関係と朝鮮半島情勢」
講 師: 李 相哲 氏(JFSS政策提言委員・龍谷大学教授)
日 時: 令和3年7月20日(火)10:30~12:00

第156回
「中国によるチベットへの弾圧と現状」

長野禮子
 
 香港や新疆ウイグル自治区等で圧政を続ける中国共産党に対する国際的な批判が強まる中、今回は拓殖大学教授のペマ・ギャルポ氏をお招きし、中国によるチベット弾圧とその現状についてお話頂いた。
 まず、中国共産党は現在のチベットは古くから中国の歴史的な領土であったと主張しているが、中国はチベットを1950年まで一度も支配したことがない。寧ろ、北京がチベットに綿製品等を献上する、謂わば朝貢していたのである。中国共産党は国家支配のために自国民を平気で騙す行為に出ていると批判した。また、1950年に中国がチベットに武力侵攻するまでは、チベットと(当時の)英国領インド間の国境は英国との条約により画定されていた。現在はインド政府が継承している。このため、チベットが中国の一部であったとする中国共産党の主張は歴史的根拠が全くないということである。
 更に、ペマ氏は中国がチベットを重視する理由についても言及。ミャンマー・ネパール、ブータン等と国境を接している上、高地にあるため周辺地域への攻撃が容易である地政学上の理由の他、レアアースや石炭といった豊富な地下資源も理由の1つだという。つまり、中国共産党にとって重要なものは”領域”なのであり、その地域の住民や文化では決してないということである。
 また、1951年には北京政府とチベットの間で「十七ヵ条協定」が締結された。これは軍事と外交をそれぞれ中国側へ委譲する、謂わば最初の「一国二制度」と呼べる内容であった。この協定には中国側によるチベットの内政干渉、及びダライ・ラマ法王を頂点とする体制に一切手を触れないことが定められていた。これは1984年に英国と香港返還について締結した「英中共同声明」のようなものとも言えるが、「十七ヵ条協定」はチベットにおいては約6年間しか守られず、1957年頃からチベットは4つの行政区(青海省、四川省、雲南省、チベット自治区)へ分割された。
 1959年、人民解放軍がチベットに侵攻。チベット人の怒りが爆発して一斉蜂起した。しかし、圧倒的な軍事力を有する人民解放軍は、これを武力鎮圧し、ダライ・ラマ法王はインドへ出国してチベット亡命政府を樹立する。ペマ氏は当時、僅か7歳だった。ペマ氏の兄も人民解放軍に銃殺されたという。ダライ・ラマ法王に伴って家族と一緒にヒマラヤを越えインドに逃れたペマ氏は、アッサム地方の難民キャンプに入った後、12歳の時に初めて日本の地を踏む。この間、チベットでは約120万人もの人々が犠牲となった。
 現在、チベットでは5人以上が集まると集会と見做され、届け出の無い場合は違法行為として取り締まりの対象となるなど抑圧的な法規制が敷かれている上、寺院も含めチベットの至る所に監視カメラが設置され、24時間体制で当局による監視が行われる状況になってしまった。
 中国共産党が結党100年を迎えた2021年は、彼らによるチベット「解放」から70年を数える。この年に合わせて中国は「チベット白書」を発表し、チベットが中国の歴史的領土である旨を記載するとともに、中国共産党の諸政策によりチベットが豊かになったとして同党による統治を正当化した。だが、昨年1月から7月の間、彼らは約54万人のチベット人を職業訓練と称して強制移住させた。これは貧困解決策と称したチベット伝統文化(生活様式や農耕技術)の破壊行為に他ならない。中国の都市部では賃金が上昇傾向にあることから、中国政府は安価な労働力をチベットや新疆ウイグル自治区から調達している。
 このように中国共産党によるチベット支配は様々な形で歴史的事実が覆い隠され、一方では既成事実を積み上げ、統治の成果を強調する手法がとられている。同様のロジックは内モンゴル自治区や香港でも見られ、やがて台湾に飛び火しようとしている。
 我が国としてはこれを対岸の火事として眺めるのではなく、中国のアキレス腱をしっかりと捕らえて正義を訴え続けることが重要である。
 
*新型コロナ感染拡大防止のため通常の開催を避け、少人数での開催とした。
テーマ: 「中国によるチベットへの弾圧と現状」
講 師: ペマ・ギャルポ 氏(JFSS政策提言委員・拓殖大学国際日本文化研究所教授)
日 時: 令和3年7月16日(金)10:30~12:30

第155回
「日本は台湾をどう守るのか」

長野禮子 
 
 台湾をめぐる議論が活発化しつつある。今回はロバート・エルドリッヂ氏をお迎えし「日本は台湾をどう守るのか」をテーマにお話し頂いた。またハワイよりグラントF.ニューシャム氏も加わっていただき、オンライン・対面ハイブリッド方式を導入して開催した。
 冒頭、エルドリッヂ氏より緊迫化する最近の台湾情勢をめぐって米国の対台湾政策に関する話として、2021年2月、米議会での安保対話、合同軍事演習、貿易協定、要人相互訪問、蔡英文台湾総統の米議会演説を盛り込んだ台湾侵略未然防止法案が提出されたこと等の紹介があった。その上で3月、インド太平洋軍司令官デービッドソン氏の「2027年までの中国の台湾侵攻」の可能性や、次期司令官アキリーノ氏の「それは思っているより早い」との見解がある中、キャンベル調整官の「戦略的あいまいさが望ましい」との発言についても紹介し、必ずしもバイデン政権による対台湾政策が信頼でき得る盤石な体制とはなっていないと指摘。
 ニューシャム氏からは中国による台湾侵攻が実行された場合、起こり得る具体的事象として、以下の5点が考えられるとの指摘があった。①軍事施設や民間施設、行政府に対するミサイル攻撃 ②電力等のコンピューターシステムへのサイバー攻撃 ③台湾国内の親中派(特殊部隊含む)による騒擾扇動(警察施設への襲撃・要人の暗殺)④台湾国内の親中派による港湾・空港占拠の後、中国軍による海・空からの上陸 ⑤継続的な増援部隊の派遣――これらが段階的に行われるという。
 一方、台湾軍は組織的・制度的に脆弱であり、米国の台湾到着も時間がかかる。仮に中国が台湾を接収した場合の日本への影響は4つ。①日本への資源供給を支える海上交通路(シーレーン)が封鎖される ②第一列島線が中国に突破され南西諸島防衛が危険に晒される ③日本全体が親中諸国に囲まれる ④米国への信頼損失という心理的影響――以上の点から、日本がやるべきことは山積していると付言した。
 今回は原則「無観客」での開催だったが、エルドリッヂ氏は参加した数名のメンバーとの意見交換で、「今、日本ができることは何か」を問うた。それに対し参加者から、米国が制定した日本国憲法、その第9条による束縛や現在の日中関係を考慮すると、先の共同声明で「台湾海峡(・・)」が言及されたことを寧ろ評価すべきだという意見が出た。また、水面下の動きとして政府間での対話や交流のやり方については官邸主導で模索している最中ではないかといった声が聴かれた。
 さらに、5月11~17日、九州各地(相浦(長崎)、霧島・えびの(鹿児島・宮崎))で行われた日米仏共同訓練の意義について質問があった。エルドリッヂ氏とニューシャム氏は共に同演習を積極的に評価できると述べた一方、さらなる規模の拡大、より複雑な訓練を継続する必要性を主張した。
 最後に、今後考え得る日米や同盟国間の連携を図る上で、台湾有事を想定したウォーゲーム等図上演習実施について話が及んだ際、ニューシャム氏はその有用性を認める一方で、「米国(同盟国側)の勝利」を前提にした予定調和的な結論に至らないよう留意すべきだと付言した。
 日台は外交関係を解消した1972年以降、専ら民間交流で互いに強い関係を構築してきた。しかし安全保障における日本の対台湾政策は決して積極的なものではなかった。中国の台湾武力侵攻が近付きつつある今、先の日米首脳会談の共同声明で「台湾海峡の平和と安定」が明記されたことで、日台の安全保障を公然と語れる環境ができたことは大変意義深い。日本は最早、憲法改正をこまねいたり、中国を念頭にした経済優先を主張する経済界の理解不足を言い訳に、「大人の対応」を気取っている場合ではない。共同声明の中身の具体的実現のために、まずは日台間の政策対話や公的関係構築に着手すると共に、日米間では中国による台湾侵攻のシナリオを想定した戦略対話、統合作戦の検討に入るべきだという思いを強くした。
 台湾有事は日本有事という意識を日本国内の様々なレベルで高め、対台湾政策を具体的に推し進める政治機運が早期に醸成されることを期待したい。
 
*新型コロナ感染拡大防止のため、通常の開催を避け、関係者には動画配信とする。
テーマ: 「日本は台湾をどう守るのか」
講 師: ロバート D・エルドリッヂ 氏(JFSS上席研究員・元在沖縄海兵隊政務外交部次長)
特別ゲスト: グラント F・ニューシャム 氏(JFSS上席研究員・元米海兵隊大佐)
日 時: 令和3年5月18日(火)14:00~16:00

第154回
「日米首脳会談と今後の米中関係について」

長野禮子
 
 今回は日米首脳会談を翌週に控えた4月7日、前駐米大使の杉山晋輔氏をお招きしての「Chat」である。冒頭、杉山大使から先の米国大統領選挙に絡めて、トランプ前大統領の功罪について発話があった。まず「功」として、2016年当選時の得票動向にも示された通り、米国中西部ラストベルトに象徴される非エリート白人を中心に約4割の支持を得、ワシントンのエスタブリッシュメントによる言行不一致(所謂「フェイク」)を指摘したことで、米国政治の根底に横たわってきた政治的欺瞞を指摘し、「アメリカの本音」を体現したことである。他方、「罪」として、人種、宗教、出自といった基本的な社会構成要素を軸にした対立を世論形成に利用したことで亀裂が深まったことだという。これは長い間封印されてきた米国の「パンドラの箱」を開けたことに等しい。政治家として豊富な経験を持つバイデン新大統領にとっても、前政権より遥かに難しいだろうと大使は語る。
 4月16日の日米首脳会談については、尖閣防衛、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」戦略、北朝鮮の非核化等、共同文書に盛り込まれる課題については枚挙に暇がないが、大事なことは最高指導者として両首脳が会うという事実であり、個人的な信頼関係を構築するきっかけとなることが一番の成果であると言明する。
 今回、米国が最初の会談相手に日本を選んだことは、現政権がいかに日本を信頼し重要視しているかの表れである。同盟とは必ずしも同じ目標を掲げることではなく、双方の立ち位置や政策、価値観の共有を確認した上で、維持、活用することである。そういった意味で、今回の日米首脳会談の意義、国際社会への発信は大きな意味を持つ。米国にとって日米同盟は、日本の、他に類を見ない長い歴史とそれに培われた伝統文化、世界第3位の経済大国としての国際的地位、これらに立脚している。
 約3年間の駐米大使としての経験から導かれる杉山大使の思いとは、日本が「等身大の自信」を持つということだ。3月に行われた日米豪印(Quad)の初の首脳会談をさらに充実したものにするためにも、日本のリーダーシップが期待される。それがつまりこの地域の安定に最も重要であることは言うまでもない。
 台湾問題については、日米にとって台湾は「重要な要素の1つ(an important factor)」(1969年、佐藤—ニクソン会談)に留まるが、その重要性は当初想定していた朝鮮半島よりも緊迫している。先の日米2+2の共同声明からも明らかなように、台湾有事イコール日本有事である。このことが日米安保の新基軸になってくるだろう。
 対中政策を念頭に置くバイデン政権にとって、日本は最も信頼できる相手である。逆に言えば、その期待に菅政権が何を以て応えられるかが問われよう。米中対立新時代にある今、日本が心して臨むべきは、日本として大きな絵を描き、「負担共有(burden sharing)ではなく、責任共有(responsibility sharing)」という認識の下に、日本はその役割をきちんと担うべく、具体的な取組を行動で示すことが更なる日米関係の発展に繋がるということだ。
 16日、世界が注目する日米首脳会談はさらに重要度を増すであろう。
 
*新型コロナ感染拡大防止のため、少人数での開催とし、関係者には動画配信とする。
テーマ: 「日米首脳会談と今後の米中関係について」
講 師: 杉山 晋輔 氏(JFSS顧問・前米国駐箚特命全権大使)
日 時: 令和3年4月7日(水)14:00~16:00

第153回
「米大統領選と今後の日米関係」

長野禮子
 
 
 令和3年初の開催となった1月7日、ロバート・エルドリッヂ氏を久々にお迎えし、先の米国大統領選挙と今後の日米関係についてお話し頂いた。 
 冒頭、エルドリッヂ氏は2020年米国大統領選挙をして「静かではないクーデター」という言葉を用い、民主党バイデン候補が重ねた得票の裏にある不正は事実との見解を示した。また今般の大統領選挙によって政治、メディア、警察、制度(投票・司法)、政府、裁判及び自国民の不信を買うこととなり、国内の分断は地域、階級、イデオロギーを超え、職場、友人、家族にまで及んでいると言う。こうした事態は過度のバイデン擁護・トランプ批判によって生み出される情報格差によって生じた。実際、エルドリッヂ氏は今回の大統領選挙はコロナ禍と組織的な不正に加え、メディア、IT業界等反トランプ勢力によってこれまで以上に現職大統領にとって厳しい戦いとなったと分析する。
 バイデン政権発足後の展開については、バイデン政権が正当性を欠き、民主党政権時のスタッフを再登用することを「リサイクルショップ」に準え、ハリス副大統領への花道を用意して短命政権になると辛辣に語った。仮にバイデンが健康問題を理由に1、2年で閑居した場合、ハリスが事実上10~11年もの間大統領権限を振るうことが可能となる。このことは就任後の米国社会に政治的無関心を促し、ローンや破産など一般国民の台所事情が悪化し、政治が混乱する事態を招くと言う。
 今後の米国政治は「3つの“I”」、即ち①Internationalist(進歩的な左派が集う、人民党)、②Interventionist(介入主義的でネオリベラル派が集う民主党)、③Isolationist(伝統的な孤立主義を尊ぶ保守派が集う共和党)―の3党に分かれるという大胆な予想を披露した。 
 最後に、日米関係の展望については、まず一連の米国内の混乱と低調な経済によって、日本は唯一の同盟国としての米国を失うことに加え、2013年12月の安倍首相の靖国参拝にオバマ政権が「失望」を表明したことでも明らかなように、米国民主党政権下で日本は国内政治においても難しい舵取りを強いられる局面が増えると予測する。尖閣問題や日韓関係といった重要課題においても、日本は米国からの支援を期待できないなど、長期的潮流で日本は不利になるというのだ。次第に日本国民はバイデン政権との温度差とバイデン政権に摺り寄る菅政権に違和感を覚えることになるだろうと語る。
 質疑応答では、今の分断された米国社会の「Unity(一体、統一)」が出てくるのか乃至は今後も続くのかとの質問に、エルドリッヂ氏曰く、そもそも米国社会において「Unity」は幻想に過ぎなかったのではないか、と思い始める米国人が増えているという。このことは一部の余裕のある米国人にとっては見えていたが、そうではない人々も「Unity」をイメージできないことを知ってしまったのではないか、と言うのだ。バイデン自身が「1994年暴力犯罪統制及び法執行法(所謂、クライム法)」でアフリカ系米国人を社会復帰から排除する意図で法案を提出した張本人であることから、国家の「Unity」を彼に期待することは見当違いだと言う。  
 奇しくも今回の「Chat」当日(日本時間1月7日)、ワシントンD.C.ではトランプ大統領支持者と見られる人々が連邦議会議事堂(Capitol Hill)に乱入し、一時占拠した。20日の大統領就任式を前に死者を出したこの“超非常事態”は、バイデン当選を正式に認定する上下両院合同議会が中断する事態に陥った。民主主義の殿堂とも言える場所で発生したこの前代未聞の事態は、自由・民主主義の盟主たる米国の醜態となった。同時に、2020年の選挙結果による米国分断、更には間もなく就任を迎えるバイデン民主党政権の進む道がいかに「茨の道」であるかということを象徴する出来事であったと言えよう。こうした混乱を尻目にほくそ笑むのは更なる覇権を目指す中国である。
 この新時代にあって日米の強いリーダーシップと日米豪印(Quad)に加え、英、仏、独との一層の連携強化に期待したい。
 
*新型コロナ感染拡大防止のため、少人数での開催とし、関係者には動画配信とする。
テーマ: 「米大統領選と今後の日米関係」
講 師: ロバート D. エルドリッヂ 氏(JFSS上席研究員・政治学博士・元在沖縄海兵隊政務外交部次長)
日 時: 令和3年1月7日(木)15:30~17:30